「富士太鼓」という作品に接する時、必ず思い出す事。
今宵は、のうのう能「富士太鼓」に出勤しました。
今宵は、のうのう能「富士太鼓」に出勤しました。
本日は鎌倉での舞台出演でした。公演の合間に、先日勤めた「盛久」所縁の史跡を訪ねてお散歩。
写真は盛久が処刑されそうになったとされる辺りに立つ「盛久頸座」の石碑で、大正年間のものです。他には昭和10年の石碑や、江戸期の講中の石碑、謡曲史跡保存会の駒札もありました。当時はこの石碑の立つ辺りまで、由比ヶ浜だったんでしょうね。
関東には数少ない謡跡のひとつです。鎌倉へお越しの際は、是非お立ち寄りください。
昨日開催の能と狂言の鑑賞会「観世音夢幻」には、お彼岸の最中、また三連休の中日にも拘わらず、ご来場頂きました皆さまに、厚く御礼申し上げます。
平成25年9月22日(日)14:00より、国立能楽堂に於いて「能と狂言の鑑賞会 ~観世音夢幻~」を開催します。
今年取り上げる能は「盛久」。
自分が「盛久」を勤める日が来るとは、思ってもみなかったのですが…。これも何かの巡り合わせでしょうか?
能「盛久」の原典は「平家物語 長門本」で、一般に読まれている「平家物語」には、この盛久の霊験譚は既述がありません。
「長門本」によれば、平家の侍主馬判官盛久は盛国の末子で、八男。壇ノ浦での平家滅亡後、京都に隠れ住み、清水寺に新しい観音像を造立して、千日詣を志します。夜な夜な白い直垂を着て日参しますが、密告により八百日を過ぎたあたりで、捕らえられ、鎌倉へ護送されることとなります。
能「盛久」はここから始まります。
盛久は、土屋三郎一行により鎌倉へ護送されるに際し、日頃より信仰する清水寺へ最後の参詣を望み、聞き入れられます。
長い旅路の末、鎌倉へ辿り着いた盛久は刑死の日を待つばかり。日夜、観音経の読誦に余念無く、最期の朝に「東山の清水から来た老僧が、我汝が命に代わるべし」と語る不思議な夢を見ます。
やがて刑場の由比ヶ浜に移された盛久が斬首を前に経巻を開くと、介錯の太刀は観音経の「刀尋段々壊」という経文の如く、折れてしまいます。
この奇跡を聞いた源頼朝は盛久を召し出すと、二人が同じ霊夢を見ていたとわかり、盛久は刑を免れます。頼朝の所望により盛久は喜びの舞を舞いますが、長居を憚って御前を退出するのでした。
能「盛久」での上演はここまで。
「長門本」によれば、その後都へ戻った盛久は、清水寺に詣でると、由比ヶ浜での処刑を免れた折、時を同じくして盛久が祀った観音像が倒れ、御手が折れたと聞き、観音の奇瑞に感じ入ったといいます。
ところでこの観音様、実は地元・ 台東区
↓チケットお申込は、下記よりどうぞ↓
http://ticket.pia.jp/pia/ticketInformation.do?eventCd=1325242&rlsCd=001
毎年恒例の、「能と狂言の鑑賞会」は今年40回の節目を迎え、「観世音夢幻」と題し、能「盛久」を中心に、観音信仰に因んだ演目を揃えました。開催までおよそ一週間と迫って参りましたので、少々PRを。
今回とりあげた仕舞は「菊慈童」・「田村キリ」・「花月クセ」、狂言は「二九十八」、能は「盛久」で、冒頭には林望先生によるお話「日本の古典と観音さま」をお聞きいただきます。
「菊慈童」は「観音経」の一節「具一切功徳 慈眼視衆生 福聚海無量 是故応頂礼」が不老不死の妙薬に繋がる霊験譚で、師匠・観世喜之師に舞っていただきます。
「田村キリ」では坂上田村麻呂が清水観音の助力によって、鈴鹿の賊を退治するにあたり、やはり「観音経」の偈文「呪詛諸毒薬 所欲害身者 念彼観音力 還着於本人」が登場します。この田村麻呂の勇ましい有様を、観世喜正師に。
「花月クセ」は、喝食・花月の芸尽くしの一つで、清水寺の縁起を語り舞う一段。こちらは芸術院賞受賞・野村四郎師に。
狂言「二九十八」は、良い妻を貰いたいと清水の観世音へ願掛けに来た男に「西門の一の階に立った女を妻にせよ」とお告げが下るという、割に良くありそうな展開ですが、これも清水寺の観音さま所縁の演目となります。人間国宝・野村万作師の至芸をお楽しみ下さい。
ここまで、仕舞・狂言いずれも「観音経」または清水寺と関わりのある演目ばかりです。まぁ、私自身も子年産まれですので、守本尊は千手観音ですから、これも何かのご縁???
能「盛久」については、また改めて。
チケットのお求めは、下記URLよりどうぞ。
皆さまのご来場を、お待ちいたしております。
24日(土)開催の、能と狂言の鑑賞会「源氏物語夢幻vol.3」も、いよいよ近づいて参りました。
うっかり告知を忘れておりましたが、台東区内の史跡「妙亀塚」を紹介するJ:COM台東のミニ番組に出演しております。以降の放送日は明日3日と、明後日4日で、9:34〜、13:34〜、17:34〜、21:34〜のいずれも6分間の番組です。ご覧頂ける環境の方は、是非ご覧下さい。
今月末に「弱法師」を勤めますので、「かの一行の果羅の旅」について考えてみたいと思います。
「平家物語・巻第二」では「一行阿闍梨之沙汰」、「源平盛衰記・保巻第五」では「一行流罪之事」として同様の記述がなされています。
玄宗皇帝に仕えた使えた僧・一行は、玄宗の寵妃・楊貴妃との不適切な関係を疑われ(疑われる過程は「平家」と「盛衰記」で異なる)、果羅国へと流罪になります。果羅国へは天子の通る「林池道」、雑人の通る「幽池道」、そして罪人の通る「闇穴道」という三通りの道があり、この「闇穴道」は七日七晩日の光を見ることのない暗黒の道だというのです。
しかし一行の流罪は、謂わば冤罪です。高僧・一行の無罪を知っている天が、九曜星となって輝き、闇穴道を進む一行の行く末を照らし、導いたのです。一行は慌てて右手の小指を食いちぎり、その血で衣の袂にその九曜星を描き留め、これが九曜の曼荼羅の始まりとなったというわけです。
「平家物語」と「源平盛衰記」では、記述に若干の差異があり、この点については駒澤大学のWEB上で公開されている論文「一行阿闍梨流罪説話の考察」(水原一氏著)に詳しいので、ご興味のある方はこちらをご覧下さい。
どちらの物語も、「天台座主・明雲の流罪」に関して、「唐の昔を尋ねるに…」という形で、高僧流罪の類例を引いている訳です。
これを能「弱法師」では、俊徳丸が人の讒言により「無実の罪で家を追われる」という身の上に、一行阿闍梨の例を引き、そして「闇穴道」という暗闇が、「盲目」という境涯に、「九曜の曼荼羅」に導かれるように、「四天王寺」へと導かれて行くという具合に、重層的に投写されていると考えられます。
さて俊徳丸の「冤罪」とは何だったのでしょうか?
これは能の作品の中では語られず、謎のままです。
ところでこの一行上人、大変な美男だったようで、その凛々しいお顔は、空海が唐から持ち帰り、東寺に収蔵されている真言密教の「五祖師像(国宝)」に描き残されています。
しかしながら一行上人は、西暦727年に没しており、この年楊貴妃は9歳で、未だ入内前ということになり、史実では一行と楊貴妃は接点が無かったことになります。ですから一行上人には、濡れ衣も濡れ衣で、「端からそんな話しは無かった」というオチがつきます。
一行は45歳で没した時、玄宗は哀哭して朝政三日停止したといいます。それほどまでに一行を信任していたという現れでしょう。
今日は午後からオフだったので、日頃片付けられない用事を済ませようと、あちこちを回る事にしました。
先ずは使っているカバンに、今ひとつ手を入れて使い勝手を良くしようと、カバンの修理をしてくれるというお店を2店訪ねましたが、いずれのお店でも引き受けて貰えず、後日別を当たる事にしました。
続いて、昨年購入した山口晃さんのポスターを巻いたまま部屋の隅に置いていたものを、額装しようと思い、日頃からお世話になっている小川町の「草土舎」さんへ。ポスターの寸法を計測して頂くと、既製品の額縁では収まらないそうで、オーダーメイドという事に。お店の方のご丁寧なアドバイスを頂きながら、額縁の素材と額縁用マットの色などを選びオーダー。今から来月の仕上がりが楽しみです。
さてその後は舞台用の杖を修理にと、心当たりの釣竿店へ。
以前、ある方から頂いた舞台用の杖は中程で繋ぐタイプ。杖の端に「竿辰」と小さな焼印が押されています。釣竿に間して全く知識のない私ですが、ある時バスの車窓から墨田区業平の「竿辰本店」という看板を発見し、もしやこちらのお店で作られた杖ではないかと思っていたのです。中々訪れるチャンスが無かったのですが、本日やっとの事で件の杖を持参して竿辰本店さんを訪ね、ご主人に見て頂くと「これは先代の印だ」との事。中程のジョイント部分の不具合を私の目の前であっという間に直して下さり「大事に長く使って下さい」とお優しいお言葉を頂きました。なんでも先代さんのお父上は、50年前に亡くなられていらっしゃるという事ですから、この杖は50年以上前の物という事になります。
4月の『弱法師』では、この杖を使わせて頂きたいと思っております。
今日は気になっていた用事が片付いて、精神的に少しスッキリしました!!
昨日開催の九皐会定例会では、能『雷電』のシテを勤めさせて頂きました。
ご来場頂きました皆さまに、厚く御礼申し上げます。
湯島天神様、並びに北野天満宮様の御加護により、どうにか無事勤め終える事ができました。
昨日前シテの能面は慈童を、後シテでは獅子口を使用致しました。
お客様の目には、どの様に映ったでしょうか?
初番との兼ね合いもあり、前シテは裳着胴で、後シテでは狩衣を衣紋に着けましたので、結果、替装束のようになりました。
時間的には短い作品でしたが、体力的にはなかなかにしんどい一番でした。
秋に向けて、体力作りも必要かと考えております。
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